1. 基本的な考え方 2. 大館市の入札・契約制度 (1)条件付き一般競争入札及び公募型指名競争入札について 3. 名簿への登載 4. その他 (1)予定価格の事前公表、事後公表 (2)入札結果の公表 (3)前金払制度について (4)発注予定の公表 (5)適正入札・契約推進委員会の設置 (6)公正入札違約金の設定
1 基本的な考え方
地方自治体が売買、賃貸、請負その他の契約を締結する場合、その契約の方法は、大きく分けて以下の3つに分類することができます。
1.一般競争入札
2.指名競争入札
3.随意契約 これらの契約方法には、それぞれ次のような長所、短所があります。
契約の方法 概要 長所 短所 一般競争入札 契約等に関する概要等を公示し、入札参加を希望する全ての者により競争を行わせ、最も低い価格の入札者を契約の相手方とする契約方式 競争参加者が事前に把握されにくいため、業者間の事前調整を行うことが、比較的困難であり、また、適正な競争性が確保されやすい。
業者指名をめぐる疑惑を生む余地がない。
競争参加意欲のある業者に対し、広範な参加機会の確保を図ることができる。契約の概要や入札の事実等について、多くの業者に周知を図る必要が生じるため、多くの時間と費用が必要とされる。
不誠実な業者等を排除することが困難であるため、契約が適切に履行されるかどうかが不安である。
価格競争にさえ勝てば何回でも落札者となりうるため、過当競争、いわゆるダンピングの発生を招くおそれがある。指名競争入札 発注者があらかじめ競争参加希望者の資格審査を実施して有資格者名簿を作成して、個別の発注前にその名簿の中から技術的適性や地理的条件等の指名基準を満たしていると認められる有資格業者を多数選定したうえで、指名を行い競争入札を行う契約方式 業者選定の段階で、能力の劣る業者あるいは不誠実な業者を排除することが可能である。
入札・契約手続にかかる時間や費用が比較的少ない。業者指名をめぐる疑惑を生む可能性が高い。
運用を誤ると、指名業者が一部の者に偏重するおそれがあり、その結果、適正な競争性を確保することが困難である。また、有資格者名簿に登録された全ての業者を把握することは、非常に困難であるため、結果的に指名が一部の者に限られる可能性を払拭できない。随意契約 発注者が請負業者を選定するのに競争入札の方法ではなく、個別に選定したある特定の者を契約の相手方とする契約方式 手続がもっとも簡易で、時間的、経済的に優れている。
技術力、信用、資力などを勘案して業者を選定できるため、確実な契約の履行を確保しやすい。契約の相手方の選定をめぐる疑惑を生む可能性が高い。
運用を誤ると、契約の相手方が固定化するおそれがある。
全ての業者の技術力、信用、資力などを正確に把握することは、物理的に不可能であるため、契約の相手方を特定する根拠に乏しい。
価格競争が行われないため、価格低減効果が期待できない。
このうち地方自治体の契約方法の原則とされているのが、「一般競争入札」です。
従って、「指名競争入札」や「随意契約」によることができる場合は地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)に掲げる要件に該当する場合に限られています。
(参考) 「指名競争入札」によることができる場合 1. 工事又は製造の請負、物件の売買その他の契約でその性質又は目的が一般競争に適しないものをするとき。 2. その性質又は目的により競争に加わるべき者の数が一般競争入札に付する必要がないと認められる程度に少数である契約をするとき。 3. 一般競争入札に付することが不利と認められるとき。
「随意契約」によることができる場合 1. 売買、貸借、請負その他の契約でその契約でその予定価格(貸借の契約にあっては、予定賃貸借料の年額又は総額)が別表第5上欄に掲げる契約の種類に応じ同表下欄に定める額の範囲内において普通地方公共団体の規則で定める額を超えないものをするとき。
(工事又は製造の請負:130万円、財産の買入れ:80万円、物件の借入れ:40万円、財産の売払い:30万円、物件の貸付け:30万円、その他:50万円)2. 不動産の買入れ又は借入れ、普通地方公共団体が必要とする物品の製造、修理、加工又は納入に使用させるため必要な物品の売払いその他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき。 3. 身体障害者更生施設、身体障害者授産施設、精神障害者授産施設、精神障害者福祉工場、知的障害者更生施設、知的障害者授産施設若しくは小規模作業所において製作された物品を普通地方公共団体の規則で定める手続により買い入れる契約、シルバー人材センター連合若しくはシルバー人材センターから普通地方公共団体の規則で定める手続により役務の提供を受ける契約又は母子福祉団体が行う事業でその事業に使用される者が主として配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの及び寡婦であるものに係る役務の提供を当該母子福祉団体から普通地方公共団体の規則で定める手続により受ける契約をするとき。 4. 新商品の生産により新たな事業分野の開拓を図る者として総務省令で定めるところにより普通地方公共団体の長の認定を受けた者が新商品として生産する物品を、普通地方公共団体の規則で定める手続により、買い入れる契約をするとき。 5. 緊急の必要により競争入札に付することができないとき。 6. 競争入札に付することが不利と認められるとき。 7. 時価に比して著しく有利な価格で契約を締結することができる見込みのあるとき。 8. 競争入札に付し入札者がないとき、又は再度の入札に付し落札者がないとき。 9. 落札者が契約を締結しないとき。
2 大館市の入札・契約制度
大館市では、原則として契約の種類や1件あたりの金額(予定価格を基準に判断します。)に関係なく、入札に付する全ての発注は公募としており、「建設工事」及び「測量及び建設コンサルタント等業務」は条件付き一般競争入札を、「役務提供」及び「物品調達」は公募型指名競争入札を行うこととしています。
(1) 条件付き一般競争入札及び公募型指名競争入札について 大館市では、原則として全ての入札等を公募型により行っています(緊急性や入札参加者数などを考慮し、標準的な指名競争入札又は随意契約とする場合もあります。)。
条件付き一般競争入札は、入札公告により、発注の概要、参加条件、参加申込みの方法等を示し入札参加者を公募します。そして応募のあった全ての者に入札へ参加いただき、開札後に参加資格や条件を満たしているか確認を行います。
公募型指名競争入札は、入札公告により、発注の概要、参加条件、参加申込みの方法等を示し入札参加者を公募します。そして応募のあった者について、参加資格の有無を確認し、条件を満たした全ての者を指名し、入札を行います。
両制度の特徴としては、
ア) 業者の入札参加申込みを受けての手続きとなるため、業者の入札参加意欲を反映することができる
イ) 業者指名をめぐる疑惑が生じにくい
ウ) 業務等の内容により必要な技術的要件等を付することができるため、不良不適格業者の入札参加をある程度防止できる
エ) 通常の一般競争入札に比べ、時間がかからない(通常、発注から入札まで3〜4週間程度)
※ 物品調達に係る公募型について 大館市における物品調達に係る公募型は、オ)公募型指名競争入札 及び カ)公募型競争見積合わせの2種類になります。
オ)は、上記(1)に掲げるような手順により行われます。
カ)は、公告に示す参加条件を満たす者により、公告により定められた期限までに見積書を提出していただく方式です。従って、公募型見積合わせにおいては、業者に指名通知を送付せず、入札参加の有無の確認は、提出された見積書の確認時に行います。
公募型見積合わせの対象となるのは、備品については、予定価格が80万円以下、印刷物については、予定価格が50万円以下の場合に限られます。
3 名簿への登載
大館市との契約の相手方となるためには、原則として市の「有資格業者登録名簿」に登載された、いわゆる「業者登録」をする必要があります。
有資格業者登録名簿は、2年に1度、入札参加資格審査申請受付時に業者から提出される入札参加資格審査申請書に基づいて作成します。(なお、2年ごとの定期受付の中間年に「中間年受付」を行っているほか、毎年4月から11月までの期間に「追加受付」を行っております。ただし、「追加受付」は市内業者のみを対象に行っています。)
(補足) 大館市では入札参加資格審査申請を、1)建設工事、2)測量及び建設コンサルタント等業務、3)物品調達、4)役務提供の分類で行っています。
それぞれの基本的な定義付けは以下のとおりです。
1) 建設工事 建設業法(昭和24年法律第100号)に規定される29の工種のいずれかに分類することができるものを指します。
2) 測量及び建設コンサルタント等業務 測量法(昭和24年法律第188号)に規定される「測量業務」、建築士法(昭和25年法律第202号)に規定される「建築物の設計業務」、「建築物の意匠、構造、設備に関する設計コンサルタント業務」、「建築物及び建築物の設備に関する積算及び調査業務」、「建築工事(設備工事を含む。)に係る工事監理業務」、「土木工作物及び土木工事に係る調査、設計コンサルタント業務」、「地質調査業務」、「土地、建築物及び土木工作物の評価や調査に関する補償コンサルタント業務」を指します。
3) 物品調達
4) 役務提供(物品調達)
印刷物、備品類等の物品の調達(物品買受け)
市で生じた不用物品等の買取り労務の提供(いわゆる「業務委託」と呼ばれるもので、その対価の全てあるいは大部分を労務費が占め、積算上の諸経費として「技術管理に関する費用」が計上されないもの又はわずかであるもののうち、「建設工事」にも「測量及び建設コンサルタント業務等」にも属さないもの、及び労働者派遣業務、賃貸借(リース)を指します。)
なお、大館市においては、「設備の維持管理・点検業務」とみなされる業務、例えば下水路や下水管の清掃(TVカメラによる調査業務を含む。)等は、役務提供として取扱います。
なお、上記の4種類の分類は、さらに、それぞれ細かく分類されており、それら細分化された分類ごとに「業者登録」をしていなければ、自社が希望する業種等の入札等(見積合わせを含む。)に参加することができない(大館市と契約することができない)ことがありますのでご注意ください。
4 その他
(1) 予定価格の事前公表、事後公表 大館市では、予定価格を探ろうとする不正な動きを防止し、入札契約手続の公正性及び透明性の向上を図るため、建設工事について予定価格の事前公表を行っております。公表の方法は入札公告の中に明示する形で行っております。
予定価格を公表した場合には、入札参加業者の積算努力を怠らせないために、入札の際に入札内訳書の提出を義務付けております。入札内訳書の作成は、当然業者ごとに行うことになりますので、設計図書等の閲覧をきちんと行うことが入札参加申込みの条件となります。また、提出された入札内訳書を確認し、不備等があった場合には、当該入札は無効となります。
また、測量及び建設コンサルタント等業務の入札については、契約締結後に予定価格を公表します。
なお、調査基準価格※及び最低制限価格については、建設工事、測量及び建設コンサルタント等業務のいずれの場合においても、契約締結後に公表します。※ 調査基準価格とは 調査基準価格とは、低額での入札があった場合に、その金額で契約の適正な履行が可能かどうかの調査(低入札価格調査)を行うかどうかを判断するための基準額です。入札額が調査基準価格を下回った場合に低入札価格調査が行われます。
大館市では、適正な契約の履行の確保と不当廉売(いわゆるダンピング)の防止を目的として、建設工事においては低入札価格調査制度又は最低制限価格制度、測量・建設コンサルタント等業務と役務提供に係る入札においては最低制限価格制度を適用しています。
(2) 入札結果の公表 大館市では、入札契約手続の公正性及び透明性の向上を図る目的で全ての入札結果を公表することとしています。
公表の対象となる項目は、入札執行日、件名、契約の履行場所、契約期間、入札者名、各入札者の入札金額、落札者名、落札金額、予定価格(ただし、物品調達及び役務提供を除く。)、調査基準価格又は最低制限価格(ただし、役務提供を除く。)、契約金額及び指名理由となり、契約締結後、速やかに公表します。
また、随意契約の結果についても、予定価格が250万円を超える建設工事を対象として、契約締結後、速やかに契約締結日、件名、契約の履行場所、契約期間、決定金額、予定価格、契約金額、契約の相手方及びその契約の相手方を選定した理由を公表します。
(3) 発注予定の公表 大館市では、建設工事、測量及び建設コンサルタント等業務、物品調達及び役務提供の入札に付する全てのものを対象に、発注予定情報を公表しています。公表の時期は、毎年4月中旬と10月中旬の計2回で、公表の内容は、発注所管課、件名(仮称を含む。)、業務等の種別、契約の履行場所、契約期間、発注案件の概要、入札方法及び発注時期となります。
(4) 前金払について 大館市では、1件の契約金額が100万円以上の工事請負契約、測量及び調査請負契約及び建設コンサルタント業務等の委託契約にあたっては、前払金を支払うことができます。
その支払額は、工事請負契約の場合は、請負代金額の10分の4以内としています(1万円未満の端数は切り捨て。ただし、低入札価格調査を経て契約する場合は、同10分の2以内、限度額5,000万円となります。)。また、測量及び調査請負契約及び建設コンサルタント業務等の委託契約にあっては、業務委託料の10分の3以内としています(1万円未満の端数は切り捨て。)。
(5) 適正入札・契約推進委員会の設置 大館市では、入札及び契約の適正な執行を図り、その透明性、公正性及び競争性を確保する等の目的のため、入札及び契約手続が適正に行われているかどうかの審査等を行うための第三者機関として「大館市適正入札・契約推進委員会」を設置しています。
当委員会の主な業務は以下のとおりです。ア) 入札・契約の運用状況に関する報告を受けること。 イ) 契約締結案件の抽出を行い、抽出案件について入札参加要件の設定理由やその経緯を審議すること。 ウ) 審議を行った案件について、意見の具申又は報告を行うこと。 エ) 入札等の非指名に関する再苦情について審議し、その結果を報告すること。 オ) 建設工事に係る入札のうち技術審査が必要とされるものについて、提出された技術資料等の審査を行うこと。 カ) 入札者又は契約の相手方から技術提案がなされた場合、その技術提案の審査を行うこと。
(6) 公正入札違約金の設定 大館市では、全ての入札(見積合わせを含む。)に関して、独占禁止法又は刑法違反と認められる事実を確認した場合には、契約金額(単価契約の場合には契約単価に発注を予定していた全数量を乗じて得た金額)の15%を「公正入札違約金」として契約の相手方に請求することとしています(各契約約款中にこの旨の記載がなされております。)。
これは、競争入札等における不正な動きを未然に防ぐことを目的とし、万が一不正が発覚した場合には、その違反者に対して、毅然とした態度で臨み、指名停止等とともに、より実効性のあるペナルティを与えることとしたものです。