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国指定重要文化財 大館八幡神社の沿革及び文化財的特徴
大館八幡神社は慶長15年(1610)に大館城中に祀られ、城中及び大館16町の鎮守総社として崇敬を受けてきました。その本殿二棟が文化的価値が高く、また由緒も明確でしたので、昭和43年秋田県有形(重要)文化財の指定を受け、平成2年には国指定重要文化財の指定を受けました。
その姿は、小規模ながら各部に極彩色を施し、豪華な造りになっています。両本殿二棟が軒を揃えて並ぶ配置に特徴があり、建築の質もよく、秋田県内では17世紀に遡る数少ない神社建築であり、東北地方の近世の社寺建築を代表するものとして価値が高いものです。
大館八幡神社の創建及び沿革
大館初代城主 小場義成は、宗家 佐竹義宣の水戸から秋田への転封の際随伴し、仙北、桧山などを経て、慶長15年(1610)大館城に入りました。
入城と同時に常陸太田八幡宮の神霊を祀り、大館城の守護神としました。その後、四代城主 佐竹義武が貞享4年(1687)大館城と大館の鎮守総社として、八幡二社を建立しました。この本殿が、現存する正八幡宮、若宮八幡宮の二社で、戊辰の戦火からも免れて保存されています。正八幡宮は石清水八幡宮、若宮八幡宮は鶴岡八幡宮の神霊をそれぞれ勧請したもので、八幡二社と言われ、佐竹家が常陸時代以来の祀り方です。
文化財について
<名称>
八幡神社二棟(付指定 江戸時代棟札)
<正八幡宮本殿>
1棟 構造:一間社流造
建築年代:貞享4年(1687)
<若宮八幡宮本殿>
1棟 構造:一間社流造
建築年代:貞享4年(1687)
※貞享4年の建立を示す棟札と本殿内3箇所に墨書があります。
建築の大体
桃山式の遺風をもった彩色とともに、洗練された「流造」の建物で二棟が軒を揃えて並ぶ配置と装飾に特徴があります。建築用材は杉を用い、共に柿葺流れ造り方一間向拝付の本殿です。彫刻等の細部や各所に施された極彩色などにみるべきものがあり、形態も配色もよく気品が全体に漂って小規模ではありますが本格的な建築です。
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向拝付の本殿:真屋は四隅に丸柱、三方に高欄付の縁を回し、六階の階を設け、桟唐戸をつけます。貫の中央に七曜紋(佐竹の家紋)その左右に牡丹唐草文を薄肉に彫り木鼻は唐様で正八幡宮は牡丹、若宮八幡宮にはやや簡素に若葉を彫ります。
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組物、斗きょう、貫、長押等:共に彩色が美色。特に正八幡宮の長押には金箔押しの痕も残り、当初の華麗が想起させます。
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妻飾:虹梁蟇股で蟇股上に絵股肘木を置き棟木を受けています。妻の蟇股はその中央を円形にあけ、その中に彫刻が入る特徴ある形式。
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懸魚:屋根の側面に三個づつ下っており、猪目懸魚であり、佐竹五本骨扇紋がついています。
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庇:面取角柱の上に実肘木をのせ虹梁形頭貫を渡し中備を蟇股とし、側面は浮彫り彫刻で華やかに飾られています。身舎との間は海老虹梁で繋ぎます。
各部の彫刻には極彩色が施されており、海老虹梁、長押、実肘木等には極彩色で文様が描かれています。桟唐戸外側、破風等には黒塗りが施されています。桟唐戸内側には金箔が当時のまま残っています。
尚、細部には両本殿で彫刻、文様の題材等が同じ系統のものであっても、部材の外形や彫刻の形態、文様の色彩、形状等にそれぞれ違いをもたせています。
名称 | 正八幡宮 | 若宮八幡宮 |
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蟇股内彫刻 蟇股円内彫刻 蟇股斗文様 長押、腰長押文様 木鼻装飾 虹梁装飾 |
松と山鳩 桐に鳳凰、桐に孔雀 植物 沙綾文 牡丹 渦と若葉 |
牡丹 柏に木莵、葡萄に栗鼠 菱文、亀甲文 亀甲文 渦と若葉 浮彫彫刻(蓮華) |
お問い合わせ先
大館八幡神社
住所:〒017-0811 秋田県大館市字八幡1
電話:0186-42-1328