子育てのキーワードは、「急がない・手を抜かない・子どもを嫌いにならない」です。そのためには、接近感情(好きだよ、可愛いよと感じる感情)を増やしていくことが大切です。
秋田県教育委員会教育専門監の子育てのポイント
- 第1回 接近感情を増やすポイント
- 第2回 子どもの発達段階を理解するポイント
- 第3回 上手な褒め方のポイント ~今日からできる3つのルール~
- 第4回 上手な叱り方のポイント ~叱る回数を減らそう~
- 第5回 子どもの味方になろう ~逆転の目をもつ~
- 第6回 子どもの気持ちを切り替えるポイント
- 第7回 スキンシップのすすめ
- 第8回 子どもの心をくすぐる裏技
- 第9回 子どもに伝えたい3つの言葉
- 第10回 子育ての喜びとは?
- 第11回 子どもへの話し方 ~近付いて・穏やかに・静かに~
- 第12回 「泣く子は育つ!」
第1回 接近感情を増やすポイント
全ての対応の基本は、子どもを好きでいることです。短所に目を奪われずに、大きな目と広いストライクゾーンで「接近感情」を増やしましょう。
当たり前にできていることを評価して「今のままで満足だよ」というラブラブ光線を送りましょう。
親が子どもに一番言ってあげたい言葉は「生まれてきてくれてありがとう」です。子育てに疲れたとき、生まれた時の感動を思い出したり、アルバムを見たりしてリセットしましょう。
子どもを好きになるコツは、ふわふわ言葉(ありがとう、助かったよ、好きだよ)を、笑顔で言い続けることです。
あるお母さんの言葉。「毎日、寝る前に子どものよいところを3つ褒めています。」
あなたは「子どものよいところは?」の質問に、すぐ答えられるようにしましょう。
第2回 子どもの発達段階を理解するポイント
1歳 自立の芽生え:安心して探索活動ができる環境設定が大切!
- 活動範囲が広がり、自分の周りの世界がどうなっているのか、実体験を通して知りたがる探索活動が始まります。
2歳 何でも自分でやりたい時期:甘えたい気持ちを受け止めて!
- 「うまくできないけど自分でやる」という思いと「親に甘えたい」という思いを交錯させながら、少しずつ自立に向けて歩んでいきます。
3歳 意思の伝達が強くなる時期:約束をさせて、それを守る経験増やして!
- 言葉を理解して行動することがきるようになってきます。「どうして?」の質問には、夢を与える返答で、子どもの知的好奇心をくすぐりましょう。
4歳 自他の区別がつく時期:子どもの良いところをいっぱい褒めて!
- 友達と関わりながらルールのある遊びができるようになります。家のお手伝いを取り入れて、認める・褒める機会を増やして自信を持たせましょう。
5・6歳 幼児期の完成期:自分で解決策が出せるように時間を与えて!
- なぜダメなのか?自分で考える力が付いてくるので、具体的に説明するとともに、子どもにも考えさせ、自分で気持ちを整理できるようにしましょう。
- 小学校入学時が人生で一番ときめくときであり、期待を膨らませるときです。「○○ちゃん、もうすぐ1年生になるよ!」は魔法の言葉であり、子どもに一番効果があります。
第3回 上手な褒め方のポイント ~今日からできる3つのルール~
- 60秒ルール
- 人は行動してから60秒以内に褒められると、またその行動を繰り返すようになります。大好きな人に褒められると効果はUPします。
- 25%ルール
- 課題が25%くらいできたところで褒めましょう。結果よりも頑張っている過程や具体的な行動を評価しましょう。
- 3回ルール
- 人は3回言われると暗示に掛かります。子どもの「良いところ」を探して、家族みんなで声を掛けて褒めましょう。
褒めることは、相手を肯定的に見たり、あなたに興味があることを伝えたりする行為です。3つのルールを実践するためには、心に余裕が必要です。
褒められることは、うれしいことで「また褒められたい」という思いがわいてくる。また、相手に好意を抱くことになります。
第4回 上手な叱り方のポイント ~叱る回数を減らそう~
なぜ叱るの?
今している言動を止めさせるため。それを今後繰り返さないため。
叱る必要のあるときは?
- 生命に関わるような危険な行動をしたとき
- 約束やルールを破ったとき
- 人に迷惑をかける行動をしたとき
ポイント
1. その場で、その時、短い言葉で叱る(時間を空けると効果がない)
2. 具体的な行動を叱る(人格を否定しない)
3. 理由をきちんと説明して叱る
4. 叱った後、子どもが適切な行動をとったら、すぐに褒める
子どもの行動を整理して、同じ対応を心掛ける。子どもは身近にいる人をお手本にするので、お父さんとお母さんが「生きたルールブック」(基準)となります。
第5回 子どもの味方になろう ~逆転の目をもつ~
子どもの行動は、見方によって長所にも短所にもなります。
- あきっぽい→好奇心が旺盛 興味が広い
- おしゃべり→社交的 明るい 人と接するのが上手
- 消極的→ひかえめ 周りの人を大切にする
- 反抗的→自分の力でやっていける 考えがはっきりした
- 頑固な→意志が強い 信念がある
- 無口な→おだやかな 人の話をよく聞く 慎重派
子どもは評価されたように育ちます。叱ってばかりいると「私はダメなんだ」と、自己肯定感が低くなり、わざと問題を起こします。子どもの見方を変えて、子どもの味方になりましょう。イライラしたら、ちょっと深呼吸して、逆転の目で子どもにプラスの言葉を掛けましょう。必ず子どもの行動は変わります!
第6回 子どもの気持ちを切り替えるポイント
- 予告:「あと1回(○分)でおしまいだよ」
- 約束:「おもちゃを片付けたらおやつにするよ」
- 評価:できたとき、約束を守ったとき、遅れてもよい行動をしたときに褒めましょう。
- 共感:「もっと遊びたかったのによく我慢したね」と子どもの気持ちを代弁しましょう。
(苦しい気持ちを受け止めてもらって我慢するほうが、立ち直りは早い) - キーワード化:「しょうがない」「こんなときもあるさ」、「順番こ」、「ドンマイ」「次があるさ」等、
キーワードを唱えて切り替えのきっかけとしましょう。(言葉には行動や思考を調整する機能があります)。
お母さんたちの「すてきなアイディア」
- お世話が好きなので「これやって」と役割を与えると、スムーズに行動します。
- トイレに行きたいのに夢中で遊んでいるとき「こちょこちょ星人が来るよ」と言って体をくすぐるまねをすると、自分からトイレに行きます。
- 童謡が好きなので「○○ちゃんはスプーンで上手にすくえるよ♪」と、歌にして伝えると「僕は上手だよね」と言って、得意気な表情で食べます。
- おもちゃの片付けをしないとき「次は何をやりますか?」と質問すると「はい、片付けです!」と答えながら片付け始めます。
第7回 スキンシップのすすめ
- スキンシップをすると「オキシトシン」というホルモンが分泌されます。このオキシトシンは、親密な人間関係を築く、愛情を高める、安心感を生む、リラックスを促す効果があります。
- 子どもから甘えてきたときは、悲しいことがあったかも知れない。そんなときは、のんびり抱っこやおんぶをして「あなたのことが大好きだよ!」というメッセージを伝えましょう。
- 子どもが転んで泣いたとき、親が痛いところに手を当てる。それだけで子どもは、痛みが和らぐような安心感を持てます。
- スキンシップは、子どもだけでなく、大人にも効果があります。ストレスの掛かる状況に置かれたとき、好きな人がそっと手を握ってくれるだけで、ストレスが軽減されます。
スキンシップを増やしたら問題行動が減ったというデータもあります。手をつなぐ、抱っこをする、おんぶをする、一緒にお風呂に入って体を洗うなど、今日からスキンシップの時間を増やしましょう!
第8回 子どもの心をくすぐる裏技
- 魔法の数字(カウントダウン)
子どもが何かを準備するときや片付けをするときに、「10・9・・・」と数える。スピードを変えて競争心をあおらずに必ず成功で終わることが大切です。 - 不適切な行動を適切な行動にすり替える
はさみを無断で取ったときに「あっ、お母さんがそのはさみを使おうとしていたんだよ。○○ちゃん、取ってくれてありがとう。」と、良い行動にすり替えましょう。 - 期待する行動を伝えてサラッと幕を引く
まだお茶を注いでいるのに、子どもがコップを取ってしまいこぼれたとき。
×:「あっ、どうしてコップを取ったの、ダメでしょう!」
○:「ありがとうと言ってからコップを取るのよ。はい、ふきんで拭いて」 - 煙に巻く作戦
しつこすぎる子どもの要求には、取り合わない。「・・・ということになっています」、「ここには○○と書いています。」と、おだやかに伝える。子どもの言動に巻き込まれずに淡々と伝えたら、別の話題に関心が移るのを待ちましょう。 - 行動と思考の切り替えはキーワードで
「レディーファースト」「どんまい」「負けるが勝ち」「もうすぐ1年生だもんね」など、子どもの好きな言葉やヒーローのセリフで気持ちを切り替えて、モチベーションを上げましょう。言葉と同時に、ジェスチャーも付けると効果がアップします。 - 切り替えの猶予
「お母さんが帰ってくるまでに片付けしておいてね」と、時間とチャンスを与えてその場から離れる、あえて刺激をしないようにしましょう。 - えこひいきのすすめ(スペシャルタイムの設定)
当たり前にできていることでも「頑張っているね。」と声をかけたり、表情やうなずきで努力を評価したりして「いつも見ているよ!」というメッセージを送り続けましょう。兄弟がいれば、一緒に楽しめる1対1の時間を意図的につくりましょう。みんなにえこひいきをすれば、兄弟間の不満はなくなります。
第9回 子どもに伝えたい3つの言葉
「ありがとう」
- 「~してくれてありがとう!」は、相手の存在を認める言葉であり、最高の褒め言葉でもあります。「ありがとう」を言えば、「ありがとう」の気持ちが育ちます。子ども、にたくさんのありがとうの種をまきましょう。
「ごめんなさい」
- 誰もが間違って迷惑を掛けたり、失敗したりします。そのときに「ごめんなさい」と素直に謝れることが大切です。また、「ごめんなさい」と言われたときに許せる人に育てることも大切です。親も子どもに「ごめんね」と言ってあげましょう。
- 3秒以内に謝るルールを決めておくと、トラブルが早く解決します。
「大好きだよ」
- 当たり前に思っていても「大好きだよ」「大事だよ」と言葉で伝えましょう。子どもは、人から好きになってもらってはじめて自分のことを好きになれます。自分のことを好きになってくれる人が多ければ多いほど、自分のことを好きになります。そのことが自己肯定感を高めます。
あなたは自分のことが好きですか。
あなたは子どもの好きなところをいくつ言えますか。
第10回 子育ての喜びとは?
あなたは自分の子どもをどのように育てていきたいと思っていますか?
スポーツができる子・勉強ができる子・健康な子・思いやりのある子
この中から、1つだけ選ぶとしたらどうしますか?
子育てには2つの喜びがあるといわれています。
1つは、子どもにこんなふうになってほしいと期待できる喜び。もう1つは、子どもを幸せにすることができる喜び。理想は、子どもに期待する喜びよりも、子どもを幸せにする喜びを大きくすることです。過剰な期待は、子どもの発達を妨げることもあります。子どもは自分で何かを選んだり決めたりすることで忍耐強く、努力ができるようになります。
親の希望通りのことを子どもがしてくれることよりも、子どもの思いに応えられることに喜びを感じる親でありたいですね。
第11回 子どもへの話し方 ~近付いて・穏やかに・静かに~
より具体的に話す
行動の基準や終わりが分かるように伝えて混乱を回避する。
×:「もうちょっと」「あとで」「しっかりしなさい」「もうお兄ちゃんでしょう」
○:「時計の針が6に行ったらおしまい」「○○を△△に置いてね」
肯定的表現を使って話す
伝え方で人の行動は変わります。否定的な表現ではなく、肯定的な表現を心掛けましょう。肯定的に伝えると、子どものやる気と集中力がアップします。
×:「~が終わらないと遊べないよ」
○:「~が終わったら遊べるよ」
言葉のイメージ力を生かす
言葉には、人の行動や思考をコントロールする働きがあります。子どもは活動に意味付けやイメージが持てると、見通しを持って活動できます。
例:「忍者になってお店を歩こう」「ぬるぬるがなくなるまで手を洗おう」
分かる言葉で完結に話す
一文が長くなると、話は分かりにくくなり、意味理解や記憶が難しくなります。子どもが理解できる言葉の数は限定されているので注意を向けてから、分かる言葉で短く伝えましょう。
例:「これから2つ話します。1つは・・・」「大事なことを話すよ」
語調に変化をつけて話す
声の大きさ、抑揚、スピード、間に配慮して伝えましょう。話すときは「近付いて・穏やかに・静かに・ゆっくり」を心掛けます。時に、大きな声は子どもに恐怖心を与えることもあるので注意を!
褒めて終わる
注意や叱ることが多くなると、トゲトゲしい雰囲気になります。注意をした後にぶつぶつ不満を言ったとしても良い行動をしたら「お母さんの言うことを聞いてくれてありがとう!」と、褒めて終わることが大切です。
あいまいな表現をすると、全てがあいまいになって子どもは混乱します。
第12回 「泣く子は育つ!」
泣くというのは・・・
- 「泣く」というのは、子どもが欲求を訴えるための手段であり、コミュニケーションでもあります。赤ちゃんのときは、泣くことが不機嫌や不安を示し、授乳を促すなどの合図にもなります。発達の方向性は「行動→言語化」なので、成長とともに、泣くことからジェスチャーや言葉で表現できるようになっています。
泣いたら・・・
- 子どもは、どうしたらよいか分からないときや初めて何かができたとき、自分を見守ってくれている人の視線を期待して必ず振り返ります。そのときに、泣く子には「大丈夫だよ」と、声を掛けて安心感を与えましょう。泣きやんだ後の笑顔が、子どもにとって「最高の笑顔」です
- 一緒にいると、どうして泣いているのか、理由が分かってくるので、見極めが必要です。「泣けば何でも要求が通る」という誤学習にならないように、時には注目を与えずに見守る姿勢も大切です。
子どもは年齢が上がるにつれて泣かなくなります。泣けなくなります。「泣く子は育つ」といわれているので、あまり神経質にならないようにしましょう!
大館市 福祉部 子ども課 子育て支援係
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