9合目高層湿原

突然、目の前に広がる広大な湿原。
田代岳9合目の高層湿原には、およそ120を超える「池塘(ちとう)」が点在するといわれ、その様は「雲上のアラスカ庭園」と呼ばれています。
木道に導かれるように散策していると見えてくる、田代岳山頂。
9合目高層湿原を一望できるポイントは、9合目から山頂への登山道中腹にあります。
その景観やミツガシワなどの高山植物群は、登山で溜まった疲れをきっと吹き飛ばしてくれることでしょう。

あと少し。
標高1178mからの眺望が、あなたを待っています。

9合目案内図

画像:9合目散策マップ
各コースの9合目到着地点から木道が整備されています(縦走コースは除く)。
9合目を湿原を眺めながら散策できるように設置しておりますが、木道が無く、刈り払いで整備している箇所もあります。
伸び初めの竹などには十分にご注意ください。

池塘(ちとう)とは?

写真:湿原名
湿原内に形成された「池」のことを指します。
例年7月、池塘に咲くミツガシワの生育状況などを参考に「作占い」が行われています。

田代岳作占い

田代岳は昔から水田信仰の霊山であり、青森県南津軽地方や秋田県北部地方の農家の人々は、毎年半夏生(7月2日)に岳詣(だけまい)りし、9合目に広がる高層湿原の池塘に咲くミツガシワの成育状態をみて、その年の稲作の豊凶を占う伝統的習慣があります。広大な高層湿原には大小約120の池塘が散存しており、その池塘を「神の田」と称し、早生(わせ)、中生(なかて)、晩生(おくて)に区分して、そこに成育するミツガシワを「稲っこ」と称して占います。
占いは、主に前日の夕方に行われます。

以下、田代町史より抜粋

夕方六時ともなり、西陽が藤里駒ヶ岳に沈みかける頃、神官は田代湿原へと下りて行き、まず山の神「田代山の御神体」を拝む。
これは作占いの御許可願いの神事と言われている。
これが終わると、次には「水量見の神の田」での神事が行われる。
これはその年の半夏生から秋の稲の刈り取りまでの田の水の具合や洪水の有無を占うものである。
次に「稲の神の田」へ行き晩稲種、中稲種、早稲種のうちどの種類が適しているかを占い、最後に、湿原の中にある神の田の中では一番深い三五の池、秋田杉が山の字のごとく三本ある神の田へ行き、賽護打ちの占いを行うのである。
これは風の占いで、稲の倒状の有無を占うもの。
昔は寛永通宝を使って占った。
銭貨の穴に通した和紙を羽根に作り、水に三回投げ入れてその沈み具合を神官が読み取るのである。
神事終了後には山頂の神社にもどり、「白髭大直日大神(しらひげおおなおびのおおかみ)」を拝む神事がある。その後で占いの結果が告げられる。
翌日、半夏生に登山した人々にもその占いの結果が告げられる。
参詣者は、「笹」と「つげ」を持ち帰り、田の水口に立てて虫除けにする。
画像:作占いスナップ